時代とマンガ

結局は、また、観に行かないでしょうが、「あしたのジョー」が実写映画化されてヒットしているようですね。1968_002


この原作マンガの連載が開始されたのが1968年。折から学園紛争が拡大し、アメリカでケネディ大統領が暗殺されるという、なんとなくざわつく世相だった頃です。1968_001


同じ1968年に発表されたのが「タイガーマスク」。主人公伊達直人の名前が最近話題になったのも、偶然の暗合でしょうか。騒乱の時代が、2011年の現在にも通じるような気がするのです。1968_004


この時代に私が愛読していた「ガロ」に登場したのが、超シュールなつげ義春の「ねじ式」でした。この時から70年代初めにかけて、「ゴルゴ13」「さそり」「銭ゲバ」「子連れ狼」「同棲時代」とあまり明るくないマンガばかり愛した私って、やっぱり根暗な30男だったのかなあ。


春風の少しく寒く物を干す       大波

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お風呂マンガ「テルマエ・ロマエ」

もし何か面白いマンガを読みたいとお思いでしたら、迷わずにこの「テルマエ・ロマエ」(エンターブレイン)をお買いになることをお奨めしたいです。今年のマンガ大賞と手塚治虫文化賞のダブル受賞に輝く爆笑マンガ。昨今のコミックスは医療から百人一首まで、題材にならないものはないといってもいいほどなのですが、流石に「お風呂」を題材にしたマンガは初めて読みました。Img_0363


古代ローマのお風呂の設計技師が、なぜか現代日本の銭湯や家庭風呂、温泉などにワープ(時間旅行)してしまうという奇想天外なシチュエーション。主人公ルシウスが日本の銭湯で得たおなじみの富士山の絵、脱衣のカゴ、フルーツ牛乳などの知識を古代ローマに持ち帰って普及させるというメチャクチャなお話が、実に可笑しくて笑いが止まりません。Img_0364


中でも、ルシウスがワープした先が、猿も浸かりに来る露天風呂で、猿たちが古代ローマ人の姿に驚いてしまうなどというくだりは爆笑の極致でした。マンガ大賞も納得です。作者のヤマザキマリさんという人がどういう人なのか全く存じませんが、どうやらポルトガルに住んでいて古代ローマの知識もハンパではなく、マンガの合間合間に挿入される「ローマ&風呂、わが愛」というエッセーも、すっごく面白いです。ちなみに「テルマエ」とは「浴場」という意味だそうです。


ひとつ風呂浴びたきけふの溽暑かな       大波

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BAKUMAN

「このマンガがすごい!」のオンナ編第一位「ちはやふる」については、すでに大絶賛しましたので、今度はオトコ編の第一位「BAKUMAN」を読んでみました。私は何事もレディ・ファーストを貫いている人間ですので…(笑)。「BAKUMAN」は、大場つぐみ=小畑健の「デスノート」コンビによる漫画家サクセス・ストーリーです。漫画家自身によるマンガ界内幕ものは、これまでにも永島慎二の名作「漫画家残酷物語」などいろいろあったわけですが、この「バクマン」ほどリアルに一本のマンガの成立過程、マンガ誌の編集担当者との関係、ライバルとの熾烈な戦いなどを描いた作品は、おそらく初めてではないでしょうか。特に、原作者と漫画家との協同作業による作品制作というシチュエーションは、二人の人間関係というドラマティックな要素もはらんでいて、強く興味を惹かれました。日頃、「俳句」というたった一人の創造作業をつづけている者としては、招き猫ダックのように(笑)ガッチリ力を合わせあうアーティストたちの姿がキラキラと輝いて見え、羨ましいっすねえ。主人公の一人の超プラトニックな恋愛のゆくえも気になるし、「ちはやふる」「バクマン」ともに、これからも目を離せないマンガになりそうです。

  立春大吉胸乳露はに観音様        大波

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いけちゃんとぼく

西原理恵子(サイバラリエコ)のガキの悪戯書きみたいなマンガは決して嫌いではなく、だいぶ前になりますが「恨みシュラン」とか「まあじゃんほうろうき」などは結構読みまくっていました。でもサイバラは八方破れのマンガを描き続けているうちに何かを掴んだのでしょうね。気がついてみると、手塚治虫文化賞と文化庁メディア芸術賞をダブル受賞するようなド偉いマンガ家に成長していたんですよ! そのサイバラの今のところの究極の傑作が「いけちゃんとぼく」で、民放のテレビ番組(「ザ・ベストハウス」とか「王様のブランチ」とか)で「絶対泣ける本」と喧伝しておりましたので、どんなものかと読んでみたら、なんとこれが本当に泣けるんです(笑)。これは一種のファンタジー、絵本なのかマンガなのかよく分かりませんが、風船に目鼻をつけたような「いけちゃん」という不可思議な生き物と暮らしている男の子の物語です。サイバラのことですから、シンプル・イズ・ベスト的な単純な線と色が活き活きしていて、ふだんのサイバラよりぐっと文字の数が減って、抑えたストーリーになっているのが魅力的です。これが映画化されていまロードショー中だとのこと、「いけちゃん」の声を蒼井優がつとめているらしいですが、観に行くかどうかはまだ決めていません。なんだかドタバタ忙しい昨今、映画を観にいく時間もなかなか取れなくて、私はちょっぴり悲しいです。

  女坂にて汗ぬぐふ蒸暑かな         大波

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追悼 赤塚不二夫

きょうは、故赤塚不二夫画伯を悼み、ウナギ犬のTシャツを一日中着ていました(笑)。ユニクロでゴルゴ13やタイガーマスクのTシャツとともに買い求めた愛用の品でございます。その赤塚さんのギャグマンガは、私も人並みに大好きでした。赤塚さんの創造したマンガのキャラは超スゴいですよねえ。思いつくままあげてみると、一世を風靡した「おそ松くん」の六つ子兄弟をはじめ、シェーのイヤミ、チビ太、デカパン、ハタ坊…みんな忘れられません。これが「天才バカボン」では数段バージョンアップして、バカ田大学首席卒業のバカボンのパパ、すぐ拳銃をぶっ放すおまわりさん、猫のニャロメやウナギなのか犬なのかよくわからないウナギ犬など、ぶっ飛んだシュールな世界に突入してしまうのですから、当時は赤塚マンガから全く目を離せませんでした。中でも大好きだったのは、何の必然性もなく登場する「おでかけですか、レレレのレ~」のおじさん、あのすっとぼけた存在には詩情さえ感じたものです。赤塚不二夫さん、元気な頃はかなり無茶苦茶をやっているようにお見うけしましたが、テレ屋とゆーか、どこか含羞を滲ませた笑顔が今はとても懐かしいです。ご冥福をお祈りします。

  雷声の多摩の横山越えて来し       大波

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黄昏流星群

アクセス数が、ついに総計9万件を越えました。現在、当雑貨店にお越しのお客様は、一日平均120人ぐらいです。弱小ブログとしては、まあまあ善戦健闘しているほうではないかとひそかに自負しているのですが、なにはともあれお客様次第のこの世界、これからもよろしく御願い奉りま~~~す。

「人間交差点」や「課長島耕作」で知られる弘兼憲史のマンガ「黄昏流星群」、きっと読んでいる方も多いのではないでしょうか。中高年の男女の恋愛をテーマにした連作の短編マンガなのですが、マンガで「老い」と「セックス」のさまざまな相が取り上げられたのは、多分これが初めて。しかしネタは泉のように尽きないと見えて、現在単行本で32巻まで出ています。私はブック・オフなどの古本マンガストア(よく行くんですよ…笑)で、ポツリポツリと買っては読んでいるのですが、ストーリーは切なくて共感できるものが多いです。正直言って、弘兼さんの絵は、奥さんの柴門ふみさんよりちょっぴりヘタ。でも俗に流れやすい題材を抑制の利いた語り口で展開しているのでスッと惹きこまれることが多く、またセックス場面などもなかなか品位があると思います。彼は私より十歳年下、まだ六十台の若さなのですから、このテーマでまだまだイケると、オールド漫画ファンの私としては、先々を楽しみにしている次第です。

  バスに乗るひとみな老いし旱星       大波

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吉田秋生の漫画

私は昔から吉田秋生(あきみ)の漫画の大ファンで、映画にもなった「櫻の園」を昭和61年の初版本で今も大事に持っています。さすがに紙は茶色に変色していますけれど、この本は私を少女マンガの世界に最初に連れていってくれた大事な一冊なんですね。あの当時、ほかに「夢みる頃をすぎても」や「河よりも長くゆるやかに」などを夢中になって読みました。そういえば名作「吉祥天女」が鈴木杏と本仮屋ユイカの出演で最近映画化されたそうで、観たいような観るのが怖いような……(笑)。その吉田秋生の最新刊「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」を読みました。父母と不幸な別れ方をした四人姉妹を軸に展開する新シリーズの一冊目です。吉田秋生は、一段と深みを増していて、正直、私は読みながら何度か泣いてしまいました(笑)。舞台になっている鎌倉の描写がいいのですよねえ。佐助稲荷は出てくるし、稲村ヶ崎の海岸で恋人たちは別れるし……。いま台風が向かっているから、湘南の海も荒れているんだろうな。外は、雨も小止みで静かです。

  台風のなかを祝の文とどく     大波

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私の漫歴

ひさしぶりに中学2年の孫娘が家にやってきて、私の膨大な漫画ライブラリーの海に、ひとときジャブジャブ溺れていきました。私と彼女の唯一の接点、それは漫画!! そう、私は俳人なのに、俳書を読んでいるより、漫画を読んでいる時のほうが多いかもしれないなあ。もうすぐ古希だっつーのにね(笑)。私はもちろん「のらくろ」「冒険ダン吉」世代なんですが、物心ついて最初のショックは、友だちから借りて読んだ手塚治虫の「新宝島」。また、横井福次郎の「不思議な国のプッチャー」や、劇画のはしりである山川惣治の「少年王者」などにも熱中したという、まあ、かなり年期のはいった漫画ファンなのです。一時は自分も漫画家になりたいと思いつめたときもあって、その後も漫画ファンをやめなかったために、現在も中学生の孫娘と会話が成立しているのですから、ほんとに漫画の効用って絶大ですよね。でも、このトシで「NANA」とか、「ハチミツとクローバ」「のだめカンタービレ」を読んでいることを人に知られるのは、やっぱりちょっと恥ずかしいんですよ(笑)。「ブック・オフ」や「ブックセンターいとう」のコミック・コーナーで私の姿を見かけても、声をかけないでそっとしておいてくださいね(爆笑)。本日は、俳句はなし(失笑)。

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一ポンドの福音

うれしいじゃありませんか。高橋留美子のボクシング漫画「1ポンドの福音」、三冊の単行本を出したまま中断していたものが、「最終章」と題してヤンサン(週刊ヤング・サンデー)で連載再開です!! 日本一意志が弱くて、しょっちゅう買い食いしては減量に失敗つづきのプロボクサー畑中耕作と、本気で彼のことを心配する修道女シスター・アンジェラの恋物語、私、大ファンなのです。主人公耕作は、「うる星やつら」の諸星あたる、「めぞん一刻」の五代とつづくダメ男の系譜のなかでも最弱のヒーロー。一方、シスター・アンジェラは「うる星」のラムちゃん、「めぞん」の響子さんをしのぐ清純・可憐なヒロインのなかのヒロイン。このところ「犬夜叉」など少年漫画の制作に精を出していた高橋留美子、ひさびさの大人漫画への復帰に、古希近いじじい(私のことですけど)が大喜びです。でも、電車のなかで漫画を読みふけるおじいさんって、自分で考えてもちょっとキモいかも……。

  帰り咲くつつぢの垣の色淡く       大波

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諸星大二郎の漫画

諸星大二郎ってご存知かな? 私も名前だけは知りながら、作品に触れることはなかったのですが、俳句仲間のA山Yさん(女性です ^_^)から「栞と紙魚子」シリーズなる不可思議な本を貸していただいたのがきっかけで、その怪奇で幻想的な持ち味にすっかり虜になっったというわけです。諸星さんは、はっきり言って絵はヘタ。でも、人間の生首をペットとして水槽で飼う話や、家の中を這い回る髪の毛のような妖怪の話など、題材がきわめて異常なのにどこかにユーモアが潜んでいて面白いんですよ。最近、そのうちの「生命の木」という短編が「奇談」という映画になって、私もDVDを借りてきて観ましたが、主役の藤澤惠麻ちゃんがかわいらしすぎ、諸星ワールドではお馴染みの稗田礼二郎役の阿部寛が「トリック」とあまり変わらないのが不満。キリストの再来の人が東北弁だという違和感を、映画はあまり生かしてはくれなかったような…。うーーーーむ。

  にぎやかに草取衆の里訛         大波

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