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追悼 吉本隆明

吉本さんは、かつて私の精神的支柱そのものでした。時々、言っていることがあまり分からなかったりしたのですけれど…(笑)。

しかし、吉本さんの「詩」は、今も愛し続けています。「ちいさな群への挨拶」という詩の中で、吉本さんは「ひとりっきりで耐えられないから/たくさんのひとと手をつなぐというのは嘘だから」と書きました。この2行に私はノックアウトされたのですね。自分自身は「ちいさな群」の一人に過ぎず、この当時も今も「嘘」を演じ続けているのにも関わらず、ひとり去ってゆく人の分厚い背中を熱い憧れの視線で見ていたのだと思います。

「関係の絶対性」とか「対幻想」とか、ひととき自分を虜にした言葉が頭の中を駆けめぐります。青春の60年代にとてもお世話になった親しい詩人、思想家の冥福を祈ります。

   春遅き佃小橋を渡りけり      大波

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

わたくしは60年代の終りから、「試行」の直接購読者で終刊までを見届けました。ですから70年代の吉本ファンですね。隆明に学んだことは、物事には原理というものがあり、それが掴めればあとはだいたいでいいよというものでした。『言語にとって美とは何か』『共同幻想論』『心的現象論』といった大著は、何度も読みましたが、生きるのに必要なのは認識ではないので、わたくしの中には残りませんでした。しかし、「わたくしが料理を作るとき」という三ページほどの主夫としてのエッセイの「日常の繰り返しに堪えるものしか残らない」という隆明の言葉は、一生残る普遍性を持った原理だと信じています。合掌。

投稿: 猫髭 | 2012年3月19日 (月) 14時49分

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