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映画「僕と妻の1778の物語」

妻をガンで亡くした私は、いわゆる「余命もの」の映画を観にいくことをつとめて避けています。この映画もそうでしたが、たまたまBSのWOWOWで放映しているのを、最後まで観てしまいました。

妻を亡くしたのは9年も前なのに、映画のなかの妻(竹内結子)のガンの進行状況、次第に弱っていく体力や気力などの描写が、自分の体験と照らし合わせてもあまりに真に迫っていたので、自分の心のやわな部分がキリキリ痛みつづけて、画面から目が離せなくなってしまいました。

これはガンで余命いくばくもない妻のために、5年間毎日ショートショートの短編を1778編も書き続けたSF作家・眉村卓の実話をもとにした映画なのでした。作家役の草彅剛くんもなかなかの力演で、妻をいたわり励ますためには文章を書くしかないという「もの書き」の業(ごう)のようなものもきちんと表現していました。

やはり胸を打ったのは、臨終にむかって次第に病み衰えていく竹内結子の神経の張り詰めた表情で、ああ、こういう顔はたしかにオレも見た、と思わせるものがありました。

無条件でよくできた映画だと言い切るのにはやはり躊躇いがありますが、この世界は多元宇宙であり、亡くなった愛する人と別の次元世界で再会する可能性だってあるはずだという楽観的なメッセージ、そうした幻想も抱かざるを得ない人間の弱さみたいなものは、静かに滲みでている映画だと思いました。

   畝の間を老の動かぬ冬菜畑      大波

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