« 2011年7月28日 | トップページ | 2011年7月30日 »

追悼 小松左京

小松左京さんというと、昭和三〇年代「SFマガジン」創刊の頃の熱気を思い出さざるを得ません。あの時代の若者の一人だった私は、「SF」という全く新しいエンターテインメント文学の誕生に夢中になり、直木賞候補にもなった「地には平和を」など、精力的に発表される小松さんの作品群を貪るように読み漁ったものでした。

今にして思えば、あのころの小松さんは、安部公房や光瀬竜、星新一などとともに、ずっしり重い戦争体験を背負いながら、できるだけ明るい口調でさまざまに未来を語っていたような気がします。今私の手元には、ハヤカワのポケット版SFシリーズの「影が重なる時」と「ある生き物の記録」(ショートショート集)の二冊が残されているだけですが、もちろん「日本アパッチ族」をはじめ「日本沈没」「復活の日」といった代表作はすべて、はっきり私の思い出の中に存在し続けています。

小松さんの核戦争ものの作品、あるいは地球規模の破局小説が驚くようなリアリティを持っていたのは、やはり背景にご自身の戦争体験があったからだと私は思っています。奇しくも、東日本大震災の年に小松さんは他界されたわけですが、その最後に今の日本の現状をどう思われたのか知りたいような気もします。

日本SF小説のパイオニア、小松左京さんのご冥福を心からお祈りします。

   復活の日のまだ遠き日日草      大波

| | コメント (0)

« 2011年7月28日 | トップページ | 2011年7月30日 »