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映画「マイ・バック・ページ」

この映画だけは、どうしても大きなスクリーンで観たいと思って、「マイ・バック・ページ」を観にいってきました。私もかつては一介の取材記者であり、60年代末に某大学全共闘のバリケード砦に潜入取材した体験などもあることから、当時は若手記者だった映画評論家川本三郎さんの原作回顧録を、心を痛めながら読んでいたためです。002


東大安田講堂の「陥落」のあと、すべての学生運動が潮を引くように鳴りを潜めるとともに、いわゆる過激派がますます尖鋭化してついに連合赤軍事件にいたったあの時代の空気が蘇ったような、辛い暗鬱な映画でした。主演の妻夫木聡や松山ケンイチをはじめ、当時はまだ生まれてさえいなかったり、ほんの子どもに過ぎなかった若い映画人のつくった作品だけに、必ずしもあの頃の空気を正確に伝えているとは言えないかも知れませんが、私を含めてあの時代の若者たち誰もが抱いたであろう「挫折感」だけは、なまなましく浮き上がってきたように思いました。001


それだけに、終幕で何もかも失ってしまった妻夫木聡が、こらえきれずに涙を流し続ける場面には、やはり胸を打たれました。雑誌「キネマ旬報」で原作者の川本さんが、東日本大震災を経たような困難な時代にはむしろ暗く重い映画こそが励ましになる、負の力がむしろ人間を鍛えてくれると書いていましたが、まったくその通りだと思いました。


スクリーンの粒子の荒き若葉寒      大波

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