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黒井千次「老いのかたち」

最近、バッグのポケットに忍ばせて、折にふれて読んでいたのが、黒井千次著の「老いのかたち」(中公新書)です。Img_1477

作家・黒井さんが読売新聞に連載していたエッセイをまとめた一冊ですが、テーマは「老い」です。体の衰えや不眠、健忘症などなど、私にも思い当たるさまざまな老いのかたちが練達の文章で綴られています。特に、平均寿命が延びるにつれて、老熟の風格といった昔ながらの老いの威厳がまったく失われ、現代人はうまくトシを取れなくなってしまったのではないかという指摘は、実に身にしみてよく分かります。Img_1478

70の声を聞いてから私も、できれば自らの生を十分に生き抜いて、やがては「老衰」という自然の中で幕を閉じたいと痛切に思うものですから、黒井さんの的確で、内省的な文の一節一節に深くうなずいては読み進めている次第です。私同様に、どのように老いの季節を過ごしていくべきかを考えておられる方に、強力お薦めの本です。

朴落葉手にして朴の木を探し       大波

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