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坪内ねんてん「水のかたまり」

ここ数日、俳句のことがほとんど念頭になく、私における「俳人度」は限りなくゼロに近い状態です。これではいけないと思い手に取ったのが、去年の夏ごろ頂戴した坪内稔典先生の「水のかたまり」(ふらんす堂)という句集です。だいたい私は、ねんてん先生の俳句が、そこはかとなく好きなんですよね。春のカバの俳句とか、たんぽぽのぽぽのあたりが火事の俳句とか、心が温かくてユーモアを湛えた抽象画家の作品を観ているような、そんな気がしている次第です。おや、ねんてん先生、気仙沼を詠んだ句もつくっていますねえ。「蛇すべる気仙沼まで行く日だが」…たぶん先生は「けせんぬま」という語感が気に入って句を詠んだのだと思いますが、実際に気仙沼まで行ったのかどうかは、わかりません(笑)。「寒晴れの日だった象の尻見てた」「一月のカバ逆立ちをしたいカバ」…ねんてん先生は、こういう俳句をアタマではつくっておらず、実感に忠実なのではないかなと私は思うのです。句集のあとがきで、先生は「写生をリアリズムの精神として尊重しながら、技法的には俳句の得意とする取り合わせを発揮すること」が最近の課題であり、これからも続く課題であると述べています。昨今の有名俳人の句集で、こんなに誠実なあとがきを読んだことがなかったので、ちょっと感動しました。

  寒晴れの日だった狆がおしっこをした       大波

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