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ヒッチコックに進路を取れ

スリラー映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックをめぐって、イラストレーターの和田誠と映画評論家の山田宏一が楽しく語り合った対談集が、「ヒッチコックに進路を取れ」(草思社)です。もちろんヒッチの映画「北北西に進路を取れ」をもじったタイトルで、ヒッチ監督を惚れまくった二人の対談だけに、映画一本一本について微に入り細をうがち、下手なヒッチ研究書よりずっと奥深いハナシが展開されているのに、要所要所に(笑)マークが並ぶという砕けたやり取りになっているところが最大のミソです。例えば、「見知らぬ乗客」で脚本を担当したハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーとヒッチの関係が最悪だったのは、チャンドラーがストーリー優先、ヒッチがイメージ優先の行き方の違いだったという指摘などは、まことに鋭くて興味深いものがありました。加えて和田誠のヒッチ作品への愛情のこもったイラストがふんだんに挿入されていてますます楽しく、ヒッチファンだけではなくて、映画ファン全般におすすめの一冊です。ちなみに、私の大好きなヒッチコック映画は、「めまい」を別格として、毒入り(?)ミルクが闇に白く光る「断崖」、テニス試合中の犯人の動かない眼差しが超怖い「見知らぬ乗客」、バーモントの紅葉が夢のように美しい「ハリーの災難」といったところでしょうか。

  投稿を待ちたる日々の芙蓉かな      大波

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