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北村薫「詩歌の待ち伏せ」

芥川賞・直木賞の作品を読むということは、だいぶ前から止めていますが、北村薫さんの直木賞受賞というのには、流石にびっくりしました。この人は平成の世になってから売れ出した作家ですから、勿論まだ文豪と呼ばれるような人ではありませんが、大ベテラン作家であるには違いなく、ほう、そうか、直木賞ってこのクラスぐらいの安定した実力がないと受賞できないのね、と感心してしまいました。…でも、私は結局、受賞作品を読むことはないでしょう。北村薫さんの著書で私が面白いと思っているのは、「詩歌の待ち伏せ」1、2(文春文庫)という詩・短歌・俳句等をめぐるエッセイ集です。例えば北村さんは埼玉県の春日部高校出身ですが、むかし前身の粕壁中学校で教鞭をとっていた加藤楸邨の「芹の根も棄てざりし妻と若かりき」という句にたまたまめぐり合って、ああでもないこうでもないとのんびり身辺のことを綴っているのです。この詩歌との「たまたまのめぐり合い」を、北村さんは「待ち伏せ」と表現しているわけで、この文章を含めてなにか全体に駘蕩とした雰囲気のエッセイ集になっており、詩歌の勉強にもなるし、強力おすすめです。

きょうの俳句吟行は、ジリジリ暑い日差しの中での難行苦行でしたが、空を見ると雲の形や深みのある青い空の色が、すっかり秋のたたずまいでした。

  早稲の香に水ほとばしり堰を越え      大波

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