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私の恋愛映画・邦画編

日本映画の純愛ものの極致は、誰が何と言っても、こりゃあ「野菊の如き君なりき」に決まっていますよお。楕円形にふちどられた抒情的画面に、私の魂は吸い込まれてしまいました。はかなく世を去った野菊の如く可憐なヒロイン、有田紀子!…彼女を回想する笠智衆の遠いまなざしが忘れられません。この映画と対照的だったのが、成瀬巳喜男の「浮雲」でしょうか。胸を病みながら、森雅之のあとを屋久島まで追っていく高峰秀子の鬼気迫る愛情に、高校生で同じように胸を病んでいた私は徹底的に打ちのめされました。川口浩と野添ひとみのコンビで増村保造が監督した「くちづけ」も、今もテーマ曲を頭の中で奏でられるほど大好きです。当時としては新しい息吹きの純愛映画だったと思います。そのものズバリ、今井正の「純愛物語」は、中原ひとみのツッパリぶりがめちゃくちゃに可愛らしく、彼女が原爆症で死ぬ場面には涙が止まりませんでした。とんとんと時代が進んで、最近の恋愛映画で出色だったのは、やはり「ジョゼと虎と魚たち」でしょうかね。池脇千鶴の体の不自由なヒロイン、ジョゼの個性的な表現にノックアウト。自ら彼女を切り捨てた妻夫木聡が、突然号泣するラスト近くのシーンに、キュンと胸が痛みました。こうしてみると、恋愛映画ってヒロインの存在感が作品の出来不出来を左右する重要なカギなんだなあと思います。

  額咲けることを告ぐべき人もなく         大波

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