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土門拳~鬼が撮った日本

私はライカというカメラが好きなので、「ライカの神様」木村伊兵衛の写真はもちろん好きなのですが、最終的に大好きな写真家は誰かと問われれば、ありきたりかも知れませんが、やはり土門拳です。と言っても所蔵している土門拳のオリジナル写真集は「筑豊のこどもたち」(第9版、1991)だけで、「古寺巡礼」や「風貌」は愛蔵版(普及版)のかたちでしか持っていません。最近、「別冊太陽」の一冊として「土門拳~鬼が撮った日本」という土門の業績をたどるムックが出版されましたので、買い求めました。やっぱり、いいですねえ! 土門の写真の魅力は何かといえば、凝視の迫力と、男っぽい優しさの二点に尽きると思います。まだフィルムのASA感度の低かった時代に、弟子たちが「もうムリです!」と悲鳴をあげるほどギリギリに絞り込んで、気が遠くなるほどの長い時間をかけ、対象となった建築物の木目までを鮮明に写しこんだ迫力は、やっぱり凄いです。また、筑豊のこどもたちの自然ありのままの姿を捉えたのは、限りない彼の優しさだと思うのです。「風貌」のなかの志賀直哉の慈愛に満ちた眼差しも忘れられませんね。土門の写真は何度見ても、飽きることがありません。この本の一節によれば、土門は「大事なモノは見れば見るほど魂に吸い付き、不必要なものは注意力から離れる」と言ったそうで、俳句を詠むときも、そのようであればいいなあ、とつくづく思いました。

  口開くや木立を渡る風薫り       大波

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