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川本三郎「銀幕風景」

「読売ウィークリー」というあまりパッとしない週刊誌がかつてありましたが、その終刊近くに連載されていた名物コラムが「銀幕風景」として単行本になりました。映画の中の心に残る風景について、映画評論家の川本三郎さんがのびのびと、また、いきいきと筆をふるった一冊です。冒頭、映画「シェーン」の舞台である緑したたるアメリカ・ワイオミング州の風景が登場。掲載された写真はモノクロですが、西部劇には珍しいあの緑の草原と、蒼い空と、遥かな雪山は、いまでもくっきりと胸に残っていますよね。ほかに、オードリー・ヘプバーンがパンをかじっていたニューヨークの高級宝石店ティファニー。クリント・イーストウッドとメリル・ストリープの中高年の遅い恋が繰り広げられるマディソン郡の屋根つきの橋。オーソン・ウエルズの不敵な笑みを乗せて大観覧車が回る「第三の男」のウィーンの街。フランス・ドーヴィルの寂しい海岸の風景に、「シャバダバダ」とお洒落なスキャットの音楽が流れるジャン・ルイ・トランティニアンとアヌーク・エーメの「男と女」。等々、忘れがたいスクリーンの風景がまざまざと蘇ってきて、映画を観た当時の自分自身の若かった日々まで鮮明に思い出してしまうのでした。連休にはうってつけの本だと思います、映画好きには強力おすすめ。

  午後の日やたけのこの尖ほつそりと       大波

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