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落花の道の猫

私の住むマンションは小高い丘陵地帯のてっぺんに建っていて、裏を尾根づたいの道がつづいています。この道の両側が桜並木になっていて、今の季節は満開の花の眺めが見事なのに、道を通るのはマラソン人か犬の散歩人ぐらい、まことにひっそりしています。私はこの道を歩くのが好きなので、ウォーキングや買物の行き帰りによく通りますが、花が散り始めると道一面に花びらを敷き詰めたようになって、これまた風情のある景となります。「大」の発送作業をすべて終えてホッとした気分で、この花の絨毯道をぶらぶら歩いていますと、おや、道の向こうの方に猫が一匹座ってこちらを見ているではありませんか。小柄な体つきの三毛猫で、もちろんノラ。近くの茂みの中にでも住んでいるらしく、よくこのあたりで出会います。刺すような目つきで私を見ているのですが、うっかり声でも掛けようものならば、そのまま後をついてきそうなので、心を鬼にして知らんぷり。だって、私の住むマンションはペット禁止で、こっそり隠れて犬や猫を飼う人は、すぐ管理組合に密告されるそうです。「ノラや、ごめん。オレだってお前と遊びたいんだけれど、世間様の目というものがあるんだよ。来世では思う存分遊ぼうな」と胸の中で謝まりながら、奴の脇を素通りしてきたのですが、花屑のなかにキチンとすわっていつまでも私を見ている金色の目がずっと胸に残ったのでした。

  父の忌の花散る山を下りけり        大波

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