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「高柳重信読本」

家を出て多摩センター駅に向かうと、どこもかしこも満開の桜で溢れ、ようやく春は爛けつつあるようです。駅のそばをチョロチョロ流れる小川の岸辺で、桜並木を愛でながらバーベキューをやっている一家なども見かけました。駅の構内にある本屋に入ると、すぐ目に飛び込んできたのが「季題別 飯田龍太全句集」と「高柳重信読本」の二冊です。いずれも角川学芸出版の新刊で、すぐさまどちらも買い求めたのですが、とりわけ嬉しかったのが「高柳重信読本」でした。一時期熱に浮かされたように重信にとり憑かれたことがあって、私の本棚には「山海集」といった句集や「バベルの塔」などの評論集が並んでいるのですが、作家としての重信の全貌を知る本にはこれまであまり恵まれなかったと言っていいでしょう。重信の多行の俳句は、一般的な俳句愛好家には敬遠されがちなのかも知れませんが、私にはとても颯爽とした男っぽい詩形に見えるのです。また、彼の俳句をめぐる随想や評論は、阿波野青畝や松本たかしの伝統俳句も、富沢赤黄男や高屋窓秋の新興俳句も、実に公正に扱って深く読み込んでおり、流石に旧「俳句研究」編集長だけのことはあると感服させられるのです。「目醒め/がちなる/わが尽忠は/俳句かな」…俳句を「敗北の詩」だと言いながらも、生涯俳句を愛しぬいた重信の読本は、とても有り難いの一言に尽きます。

  裏道の二日遅れの桜かな        大波

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