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句集「松前帰る」

三上冬華さんが私たちに遺してくれた唯一の句集「松前帰る」は、私たちが彼女と再会した直前の一昨年十一月に出版されました(ふらんす堂)。表紙の淡いブルーグレイの地に散らされた雪の結晶=冬の華が、今となっては目に沁みます。

  黒々と松前帰る日の礁      冬華

句集の冒頭、冬華さんの故郷、北海道松前の雪まじりの潮風が吹く景が次々に詠まれていますが、その中には初心時代の私が感嘆した佳句もいくつか入っており、改めて今読んでみますと、胸を締めつけられるような思いがします。

  一頭に一老添ひて馬の市    冬華

中途半端な抒情味などは露ほどもなく、どの句もきっぱりと詠まれて、言葉の使い方が自在なこと、人間をよく観察したことから生れる豊かな諧謔味等々、ほんとうにもっともっと学びたかった句友でした。

  この町を出るに渡るや冬の川  冬華

故郷の川を渡って帰ることもなくなった冬華さん、私より五歳も若かったのです。重ねてご冥福をお祈りします。

  松前の空は何処か星流れ    大波

  

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