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百鬼園俳句帖

ここ数日は、遠く近く雷様がゴロゴロ鳴り、いきなり激しく雨が地面を叩くというような日が続いています。こんな時思い出すのは、内田百閒の「淋しさやはたたくひまの道の雨」という句です。「はたたく」は勿論、雷がとどろくことを言っているので、ふと雷鳴が途切れたときに、道に雨脚が光っている景でしょう。ユニークなのは上五の「淋しさや」という詠嘆で、こんな瞬間を「淋しい」と感じるのが、稀代の随筆家百閒の真骨頂だと思います。百閒は漱石の弟子ですが、俳句は別に漱石から学んだということではないようで、岡山の旧制中学あるいは六高時代から独自の句作りに励んでいたのだそうです。私が大好きな百閒の句は、有名な「夕闇に馬光り居る野分哉」ですが、それらの句を集めたのが「百鬼園俳句帖」。今はちくま文庫の内田百閒集成の一冊として読むことができます。俳句の本を読むのがあまり好きではない困ったちゃん俳人の私ですが、この本には漱石俳句の鑑賞など百閒先生ならではの俳句に関する滋味あふれる文章がいっぱい詰まっていて、私の座右の書であります。「安房列車」ものなど百閒ファンには、強力お奨め。

  はたた神なんどで啼くを止むものか      大波

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