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厄除け詩集、限定本

私は結構、さまざまな現代詩集を所蔵しているのですが、そのうちの一冊が井伏鱒二の「定本 厄除け詩集」(牧羊社)です。平成二年発行の和綴じ函入り、限定1000部の992冊めで(999冊めが欲しかった!…笑)、神田神保町で買い求めたものです。これは、オリジナルに比べたら価値は高くないのかも知れませんが、井伏先生の筆書きの署名入り、当時百一歳の奥村土牛画伯の仔牛の絵が扉に付くという逸品で、カメラのライカM3と並ぶ私の宝物です。これは比喩ではなくて、ほんとうに本棚に両者が並んでいるんです(笑)。ご承知のように「厄除け詩集」は、漢詩の訳「サヨナラダケガ人生ダ」で有名な一冊ですが、私はなだれの雪に熊があぐらをかいている冒頭の詩をはじめ、今宵は仲秋名月で万障繰り合わせてよしの屋で濁り酒を呑む詩、大雅堂の主人がどろどろの溝に落っこちる詩、等々。要するに全部大好きで、ぶっちゃけて言えば、俳句より遥かに好きなのです。中でも愛してやまないのが煙草のヤニを口から押し込まれた蛙が胃袋を裏返してじゃぶじゃぶ洗濯する詩。シュールでほのぼのとして、こんな詩は井伏先生のほかに誰一人書くことができなかったでしょう。できればこんな味わいを持った俳句を、死ぬまでに一句でもつくれれば、というのが私の夢です。尚、詩集の二番目の宝物は、西脇順三郎の「旅人かへらず」(恒文社)ですが、これもオリジナルではなくて函入りの復刻本です。三番目は高見順の「死の淵より」と永瀬清子の「あけがたにくる人よ」でしょうか。

  炎ゆる日や砂掃く音のいづくより      大波

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