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器用と不器用と

どうしてかなぁ。私は、映画でもテレビでも、器用な人より不器用な人が好きなんです。つまり、A子よりB子が好き。不器用俳優って、いっぱいいますよ。戦前では、嵐寛寿郎、大河内伝次郎、藤田進、笠智衆もそうですね。戦後は佐分利信、志村喬、三船敏郎、高倉健、大友柳太郎、若山富三郎と、挙げていくとキリがありません。実は、渡瀬恒彦もその系譜の人ではないかと、私はひそかに思っているのです。デビュー当時は東映の不良番長とか、まむしの兄弟とか、血なまぐさいシリーズのご常連(笑)。ぶっきらぼうな男くさい演技は、ここで身についたんでしょうね。しかし1980年初頭に例の「セーラー服と機関銃」で薬師丸ひろ子お嬢様を守る役を演じた頃から、演技に陰影と幅がついてきて、私は「事件」をはじめ、「時代屋の女房」や「南極物語」の渡瀬恒彦、大好きです。「ちりとてちん」のスタッフも、多分、不器用は承知の上で、人生の陰影や包容力が滲む彼を起用したのではないでしょうか。確かに落語は超ヘタでしたが、インタビュー記事で彼自身が「愛宕山」のテープを1ヶ月間聴き続けて噺の習得に努めるなど激しく苦しみ悩んだということを知ったものですから、私としても「そうか、そうか」と許したワケでして(笑)。また、米朝や枝雀の「愛宕山」を聴いても、例の「雲雀がピーチクパーチク」という地語りの部分は、リズムさえよければ大体一本調子で読み下すことができるところで、脚本家やスタッフはそれを十分考慮した上でドラマに取り入れたものと思います。結論を申し上げれば、器用で達者な人の芸を毎朝観るのは疲れます。毎朝観るならばむしろ不器用な芸がいい、ということでして…(笑)。

おや、さっきの地震は、ちょっと大きかったみたいですね。

  啼き声のゆきつもどりつ夏雲雀       大波

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