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京極杞陽の句集

おそらく虚子は、頼まれて句集の序文を書いたことが幾度もあるでしょうけれど、私が好きなのは京極杞陽の句集「くくたち」に書かれた序文です。杞陽の人柄もあるのだと思いますが、虚子は杞陽との交渉の思い出をかなり暖かいタッチで綴っています。最後にようやく杞陽の俳句について語るのですが、これが全然褒めていないのですね(笑)。虚子は俳句よりも「文章とも俳諧詩ともつかぬもの」に杞陽の心持が最も現れていると述べ、それに比べれば「俳句の方には失敗したものがやや多い傾きがある」などとズケズケ言うのです。下手なお世辞よりも、虚子の愛情がよほど現れているではありませんか。この「くくたち」上下2巻は、終戦直後に出た本ですので紙などもまだ粗悪な感じですが、「春風や但馬守は二等兵」などいかにも但馬(兵庫県)のお殿様だった杞陽らしいおおらかな句を読むことができ、私の愛蔵句集の上位を占めています。上野を吟行した際に詠まれた「大方は下町の人春の人」なんて句も、全くどうということもなくて、理想だなぁ(笑)。そういえば近々上野に吟行する予定です。花はすっかり散ってしまうでしょうけれど…。

  全身に棘ある像や春の風       大波

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