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吉行淳之介について 2

山口瞳の「江分利満氏の優雅なサヨナラ」に、吉行淳之介の死の前後のことが、「涙のごはむ」という題のエッセイで掲載されています。山口瞳は批判的な気持ちも併せ持ちながら、吉行への深い敬愛の気持ちを、胸に沁みるような文章で書き綴っているのです。山口は「吉行は芸術家で、僕は市民。彼は労働者とか農民とかを根本的にはわからない人だと思う」といいます。その一方で山口は、吉行と同じ時代に生まれ、同じ時代に生活し、同じ時代の空気を吸ったことを大きな喜びとしている、と述べているのです。こんなに羨ましい人間関係はまたとないでしょう。山口瞳のような実に厄介そうな男にここまで言わせるとは、吉行淳之介とは実に魅力的な人物だったのではありませんか。生涯に一度でいいから、そんな人に会ってみたかった、と思わざるをえませんが、「美しい日本」国には、吉行淳之介のような人も、山口瞳のような人も、たぶん棲めないでしょうね。マジ悲しい。

  梅林の盛り過ぎたる淋しさに     大波

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