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言辞施のこと

ほたるさん、「俳句の海へ 言葉の海へ」をご購読いただき、まことに有難うございました。俳句入門書というものは、どれを手にとっても大同小異、阿弥陀経も観音経もみんな同じに聞こえるという中で、寺井先生はかなり個性的で読み手を惹きつける魅力を持っているのではないかと思います。改めてお勧めいたします。さて、ほたるさんのコメントにある「言辞施」(げんじせ)という言葉ですが、仏教に言う無罪の七施、財産がなくても七つの施しができるという中の「言葉による施し」のことだそうです。つまり、優しい言葉で話す、美しく的確な言葉で話す、さらに心をこめて話す、といったことを指すのだそうです。とても大事なことだよなぁ。そう言えば、今日、映画「それでもボクはやってない」を観ました。周防正行監督11年ぶりの新作。痴漢容疑をかけられた青年が、あるいは呟くように、あるいは叫ぶように、「ぼくは無罪だ」といくら言葉を重ねても、決してその言葉が心に届かない裁判所という空間。ほんとうに恐ろしいと思いました。そこは、私たちが生きている社会全体の象徴的な場所なのかも知れません。そこでは、当然、「言辞施」も不可能でしょう。とすると、言葉の芸術である俳句もまた…。つくづく考えさせられました。

  野施行や薄切り肉の赤きこと     大波

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