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「シュガスパ」つづき

映画「シュガー&スパイス」の失恋がとてもリアルなのは、ヒロインが、自分に心から優しくしてくれる(シュガーな)主人公を最終的に選ばず、彼女を傷つけたこともある(スパイシーな)恋敵のほうに走ってしまう残酷さのせいだと思います。二人の男の間で心が揺れる彼女に何の罪もない。むしろ、とても女らしいあり方だと思わざるを得ません。しかし、こうした恋の戦いに敗れるということは、彼のプライドを泥まみれにし、柔らかな心をズタズタにしてしまうので、そこで彼が転落の一途をたどるのか、それともこの痛打を糧として立ち直り精神的成長をとげるのか、ひとえに彼自身の生命力の強弱にかかっていると言えるようです。映画の場合は、どうやらヤギー演じる主人公に再生の曙光が射しつつあるような幕切れでした。私が思うには、これは「失恋の王道」ですね。これに比べれば、フーテンの寅さんの48連発の失恋は、ほとんどが「失恋」ではありません。ただ恋の夢をほのかに見ては、やがては現実に目覚めるだけの繰り返しです。それが証拠には、寅さんは、ちっとも成長しなかったではありませんか。でも、俳句にするには、やっぱり寅さん的なかろみのほうがぴったりくるかなあ(笑)。

  八千草の野に置く旅の鞄かな    大波

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