泣ける映画

雑誌「BRUTUS」最新号の特集がこれ。表紙の二宮和也くんが涙をこぼす写真があまりにかわゆいので、ついふらふらと買ってしまいました(笑)。100人の名だたる映画関係者とBRUTUSが選んだ「泣ける映画」ランキングが載っているのですが、泣ける映画なんて世代によって、性別によって、環境によって、それぞれ違うのが当たり前ですから、こんなランキング自体が無意味なのは重々承知ですが、第1位がフェリーニの「道」という万人が納得するであろう結果に逆にびっくりしてしまいました。でも、10位以内に「禁じられた遊び」も「野菊の如き君なりき」も「ヘッドライト」もランキングされていないのは、やっぱり超不満でしたよ。私はこの三本で映画館で号泣したんですから(笑)。同じ雑誌に「笑える映画」も綴じ込みブックの形式で収められていますが、こちらでも私が爆笑したロバート・アルトマンの「M★A★S★H」やダニー・ケイの「虹を掴む男」などが入っていないのは、大いに不満なのでした。

  この頃は涙もろくて散紅葉      大波

| | コメント (0)

ピアニストを演じること

ドラマ「ロングバケーション」でのキムタクの役は、音楽コンクールに挑戦する若手ピアニストだったわけですけれど、演奏場面には、そこはかとなくヒヤヒヤさせられるものがありましたね(笑)。もちろん随所で肩越しにキムタクの指使いをカメラに納めたりして、懸命に本物のピアニストぶりをアピールしていたのですが、いくら諸事チョー器用なキムタクだって短期間に演奏会場の聴衆を全員感動させる天才ピアニストになり切るのはチト無理だったんじゃないかな。これまでのところ、私をまあまあ納得させるようなピアニスト演技を見せてくれたのは、やはり「のだめカンタービレ」の天然天才女流ピアニストのだめこと上野樹里ぐらいでしょうか。樹里ちゃんは映画「スウィングガールズ」でも誤魔化しなしのサックスプレイをしていましたし…。それからずいぶん昔のドラマになりますが、和田勉演出で話題を呼んだ「ザ・商社」の夏目雅子のピアニストぶりが凄かったという記憶があります。なにしろ彼女が弾いた(ということになっている)ショパンの「革命」が、いまだに耳に残っているぐらいですからね。話がブッ飛びますが、夏目雅子がやや前衛的な俳句を詠んでいたことをご存知ですか?「時雨てよ 足元が 歪むほどに」などという句があります。たった27歳で亡くなるなんて、惜しすぎますよねえ。ピアニストもそうですが、貴重な成り切り女優だったのに。

  落葉煌く 日は山の端にさしかかり      大波

| | コメント (0)

浅草吟行記

浅草への俳句吟行は数え切れないほど何度も体験しているのですが、決して飽きることがなくて、汲めども尽きない魅力があると思っています。朝顔市や羽子板市、酉の市、三社祭、歳末、正月と季節ごとに変化に富んだ、人間の暮らしが渦巻く場だからでしょう。きょうは生憎の吹き降りの天気で、浅草寺境内の菊花展に出品されていた厚物咲きの菊の鉢がバタバタ倒れている景を見ることが出来ました。これをC羽さんが「突風に倒れ県知事賞の菊」と面白く詠んでくれましたが、これもまた浅草らしい俳諧の世界。句会場の浅草公会堂前にスター芸能人たちが遺した手形広場では、先日亡くなった森繁久弥さんの手形に立派な菊の鉢が供えられて、Y雪さんが「森繁の手形に菊の献花かな」と詠む見事な即吟を披露してくれました。浅草は、やっぱり面白いですねえ。お土産に、舟和のあんこ玉を買いました。

  冬雲の飛ぶや雷門の空       大波

| | コメント (0)

ロングバケーションふたたび

とんでもない寒さですね。あすの浅草吟行は、どれだけの人が来てくれるのか、ちょっと心配です。きょうは一日中、家の中で固まっていました。伝説的な大ヒットドラマ「ロングバケーション」の再再再(?)放送最終回の録画をぼんやり観ていると、山口智子はやっぱり超いいっすねえ! たしかこのドラマのすぐ後に、唐沢寿明くんと結婚しちゃったのではなかったかしら。キムタクはまだ一所懸命にキムタク的演技をつくりあげている途中で、松たか子とともにルックスも演技も若い若い! このドラマを最初に観たときは亡くなった妻と一緒で、二人とも一致して稲森いずみの天然カマトト演技が好きでしたが、今回もその印象は変わらず、彼女はこの頃からなかなかの実力派だったんですね。このドラマの収録は、当時の私の仕事場のすぐお隣の渋谷スタジオで行われていたので、私はキムタクと山口智子が仲良く道を歩いているのを目撃したことがあります。あれはほんの少し前のことだと思っていましたが、ドラマの中にケータイさえ出てこないところを見ると、ずいぶん遠いむかしのことだったのですね。トシとるわけだなあ。

  一の酉過ぎ火の色の花を買ひ       大波

| | コメント (0)

時雨忌に…

先日、「おくのほそみち」で名高い松島に吟行に行ったばかりなので、俳聖松尾芭蕉を思うことが多いのですが、芭蕉が亡くなったのは陰暦十月十二日、今の暦で言うと今月28日が時雨忌ですね。しかし、昨日今日の雨による肌寒さから、月遅れの今頃こそが時雨忌にぴったりだとは思いませんか? 芭蕉をめぐる本はそれこそ山のようにあるのですが、最近古本屋さんで買った小室善弘さんの「芭蕉に聴く~「去来抄」に学ぶ作句法」(本阿弥書店)という本が目下の愛読書です。タイトル通りに、「去来抄」を難しい古典としてではなく、現在俳句つくりを楽しんでいる私たちの役に立つ実用書として分かりやすく読み解いた、たいへんに有り難い本なのです。文中、俳聖は「芭蕉さん」という親しみをこめた呼び方で登場し、例の「言ひおほせて何かある」といった発言に対する解釈などがひとつひとつ丁寧に説明されていて、そ、そ、そうか、なるほどなあ! と納得したこともしばしばでした。出版されてからだいぶ時間のたった本なので、今簡単に手に入るかどうか分かりませんが、芭蕉好き、俳諧好きにはおすすめ本です。それにしても、急に真冬になったようなこの寒さ。みなさん、風邪など引かないようにね。

  時雨忌のしぐれ模様の空であり      大波

| | コメント (0)

追悼 森繁久弥

森繁さんのご冥福をお祈りします。私は現役の取材記者の時代に、いっぺんだけ森繁さんのインタビューをしたことがあります。彼が何かの受賞をした喜びの声を取材する仕事でしたが、そのとき森繁さんはえらく機嫌が悪くて、最初はニコリともしないで私の前に座っていらっしゃいました。それがいったんカメラが回り始めると、コロリと様子が変わって実ににこやかな表情でお馴染みのモリシゲとなり、私の質問に流暢に受け答えをしてくれたのでした。私は、ああ、やっぱり役者って凄いもんだなと感心する一方、変わり身の早さに気を呑まれてしまって「こいつぁ負けたぜ」という妙な感想を抱いてしまいました。考えてみれば、私は東宝映画の喜劇路線では植木等一点張りで、森繁さんの社長シリーズも駅前シリーズも殆ど興味を持たなかった人間ですから、最初から距離感があったのかも知れないですね。でも、森繁さんの「夫婦善哉」や「猫と庄造と二人のをんな」、それに「次郎長三国志」シリーズの森の石松役などはやはり絶品だったなあ、と今しみじみ思うのです。

  をばはん頼りにしてまつせとぞしぐれけり     大波

| | コメント (1)

メジューエワのピアノ

まだ吟行疲労から立ち直れず、きょうも一日ボケナス状態。この人のことは、前にも書きましたっけ? ピアニストのイリーナ・メジューエワの最新CD、スクリャービンとラフマニノフのピアノ曲ライブ演奏を聴いているうちに、だいぶ元気が出てきましたが…。実はこのCD、レコ芸こと雑誌「レコード芸術」の特選盤に選ばれていましたので、聴きたい聴きたいと思っていたのに家の近所では売っておらず、たまたま吟行の前夜着いた仙台のCD屋さんでようやく見つけて買い求め、土産に持ち帰ったおタカラなのでございます(笑)。メジューエワはロシア生まれ、現在は日本を拠点に活躍している人で、私もナマを数回聴いたことがありますが、西洋人形のように可愛く(ただし年齢不詳)、そのピアノはロシア的抒情がたちこめたしっとり美しい響きを持っています。私は軟派ですので(笑)、内田光子のような雄大なピアノよりも、田部京子や、このメジューエワのような繊細・透明なピアノのほうが大好きなのであります。果たしてCDのスクリャービンもラフマニノフもロマンティックで、奥深くて、疲れたじいさまの心をたっぷり癒してくれました。イリーナちゃん、ありがとうねっ。

  宵の星見えしがやがてしぐれけり      大波

| | コメント (0)

テレビドラマ「JIN~仁~」

いつものことながら、旅吟疲れで一日ボケ~~~ッとしていましたが、天気がまずまずだったので、溜まっていた洗濯と布団干しだけはなんとかやり遂げました。それを済ませてから、DVD録画しておいた「天地人」と「JIN~仁~」の連続ドラマ二本を観ましたが、この対決は面白さに於いて「JIN」の圧勝でしたね。脳外科医が幕末にタイム・スリップするという新鮮なアイデアは原作マンガによるものですが、器具も薬品も何もない時代に医療を試みる数々の場面はなかなか迫力があって、それだけで劇中に引き込まれます。前に今期は観たいドラマがないとグチりましたが、この「JIN」にやっと救われた感じがします。今回も当時の吉原に蔓延していた梅毒の治療のため、青カビからペニシリンをつくろうという努力が果たして成功するのか否か、超サスペンスフルな展開でした。最新医療が江戸末期に行われたとすると、日本の歴史が捻じ曲がってしまわないかというお馴染みのタイム・パラドックス。ドラマはどう決着をつけるつもりなのか、最終回まで観てしまいそうだなあ。

  かはほりの去らぬ川面の日短か      大波

| | コメント (2)

松島の旅

七月の気仙沼につづいて、今回は日本三景のひとつ、松島を吟行してきました。ふるさと宮城県の吟行なのですが、今回も日程はびっしりで仙台の兄姉に会う時間が取れず、あたふたと帰京してきた次第です。俳人とは旅人、と芭蕉のようなしみじみした心境になったことでした。松島~奥松島を中心にした二日間は、絶好の好天に恵まれて、この時期のみちのくにしては暖かい吟行日和。波静かな松島湾の島々を眺めながら、せっせと俳句を詠んだのですが、正直なところ、瑞巌寺、五大堂、大高森、野蒜海岸と半世紀前の青春時代の記憶がまざまざと蘇ってくるような風景の連続に心奪われて、どこまでちゃんと俳人らしく振舞うことができたのか、自信ありませんでしたね。ほんとうに、故郷は遠くにありて思うものだっちゃ(仙台弁)、カンベンしてけろ(これも仙台弁…笑)。帰りには、仙台駅で土産の笹かまぼこを買いました。牛たんとか、萩の月とか、私の子ども時代にはなかった土産物はどうも買う気が起きない古い古い仙台人の私でした。

  島々の根に砕けたる冬の濤      大波

| | コメント (0)

名もなき毒

まったく久しぶりにミステリーを一冊読みました。宮部みゆき「名もなき毒」(カッパ・ノベルス)。たびたび申し上げている通り、最近の私には活字の本を一気に読み通すパワーがなく、したがって毎晩布団に潜り込んで眠りに就くまでの数分間、チビチビという感じでこの「名もなき毒」を読み続けていましたので、一冊読了するまでに気の遠くなるような時間がかかったのは事実です。それでも、宮部みゆきさんの語り口のうまさで、毎晩次がどうなるだろうと頁をめくるのが楽しみでした。昔、イギリスあたりで老人が毎夜暖炉のかたわらで紅茶などを啜りながらミステリーのページを繰っていたというのは、ちょうどこんな感じなのかも…。「名もなき毒」は、スーパーや自販機に毒物を混入する無差別犯罪が背景にある一方、土地土壌汚染とかシックハウス症候群とかの「毒」にも視野を広げた社会性の色濃いミステリーです。宮部みゆきさんは、時代物もとても面白いのですが、やはり「火車」とか「クロスファイア」とかの現代の「闇」を捉えた作品が抜群だと思います。これで、活字を読む気力が取り戻せたような気がして、ちょっぴり嬉しいな。

  ご老体ゆるゆるござれ落葉道      大波

あすから二日ほど吟行で留守にしますので、臨時休業です。ど~も済みません。

| | コメント (0)

«マイケル・ジャクソン